外壁塗装について
About exterior wall painting
建物の外壁や屋根にとって、紫外線や風雨は傷みの要因となります。
特に北海道は冬期間に厳しい寒さにさらされ、雪害によるダメージも受けます。
紫外線や風雨は塗料の色褪せやヒビ割れを誘発し、防水機能を奪います。
また、最近では酸性雨の影響による劣化も多くなってきています。
そのため、外壁が傷む要因が何なのかを正確に把握し、適切に対策することを目的とした塗装工事を行なうことで、劣化を遅らせたり防止することができます。
外壁塗装・屋根塗装を行う上では、劣化している箇所だけを修復するのではなく、その根本的な原因を探り出して対処することで、家を長持ちさせることに繋がります。
Cause
窯業系サイディングの主原料はセメントです。
外壁の素材にも関わらず、窯業系サイディングは水に弱く、湿潤乾燥の変化に弱く、寒暖の変化にも弱いという性質があります。
その弱さを守るため、表面に様々な塗装がされています。特に湿潤から乾燥を繰り返すことによって、素材が反ってしまっている状態はよくあります。
窯業系サイディングはアルカリ質のため、アルカリ質を保つことで強度が持続します。ところが塗膜が劣化した部分が風雨にさらされることで、アルカリ成分が流れ落ち、強度が弱くなってしまいます。そのまま放置すると、やがて素材そのものが粉上になって欠損します。
住宅の断熱性能は断熱材の技術開発が進み、私がこの業界に入った1980年代と比べても、格段に向上しています。
しかし、新築当初の断熱性能がいつまでも持続するわけではありません。冬期間に暖房の熱が室内の壁を通過し、経年による断熱材の劣化部分から外側に向かって逃げます。逃げた熱は外壁の内側を温めますが、外側は外気で冷やされているので、外壁の内側に結露が発生します。これが内部結露です。
発生した結露は外壁に浸透し、外壁材が内側から水を含んだ状態になり外気温により凍害を受け外壁材が損傷します。
Cause
窯業系サイディングに比べて外的要因・内的要因による傷みは発生しづらい素材です。
しかし金属系のため錆びが発生したり、屋根からの落雪・落氷が外壁にぶつかることによる損傷、自転車や荷物の搬出などの際に外壁を傷めてしまうケースは多くあります。ほとんどの金属系サイディングは「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる素材で、アルミと鉄の合金なので錆びづらいという特性があります。
しかし、「ガルバリウム鋼板」のサイディングもやがて錆びます。私は「ガルバリウム鋼板」のサイディングが錆びている状態を日常的に目にします。特に雨が当たらない部分(屋根のひさしで雨が当たらない部分や、バルコニーなどで陰になった部分など)は、外気に浮遊している物質が雨で流れ落ちることがなく、付着したまま長時間経過するため錆びやすくなります。また、暖房機や給湯器の排気が当たっている部分も、排気にガスに含まれた化学物質の影響により錆びやすくなります。
Cause
モルタルは窯業系サイディングと同じくセメントが主原料のため、水に弱い性質があります。木造住宅の外壁に使用されるモルタルのほとんどが軽量セメントモルタルです。構成はセメントが50%と珪砂や寒水石などの軽量骨材及び繊維材を含む混和剤が50%です。
しっかりとした施工を行えば、窯業系サイディングと比較して風雨による著しい影響を受けることは少なくなります。
しっかりした施工とは、水との混合割合や施工時の気温、最適な乾燥時間を置いての施工です。そして施工を担当した左官職人の技術も耐久性に大きく影響します。しっかり施工されたモルタル外壁は本当に強いです。とは言え、塗膜が剥がれて下地がむき出しになった状態のモルタルは紫外線や風雨にさらされることになるので、長持ちさせるためには塗膜の改修工事を早めに行うことが必要です。
モルタル外壁にはヒビ割れの心配があり、ヒビ割れが発生する要因は様々です。
窓やドアなど、開口部周辺に八の字型に発生するヒビ割れは、開口部周りの補強に問題がある可能性があり、外壁一面に髪の毛状に発生するヒビ割れ(ヘアークラック)はモルタルの調合に原因がある可能性があります。発生したヒビ割れは原因を完全に取り除くことが難しいですが、ヒビの根本的な原因を見つけ出し改修することで、中長期的に対処できる場合があります。